日大アメフト問題から考えるべきこと

 いよいよ面接解禁となりましたね。これまで自分と向き合い、企業と向き合い、将来への想いを馳せてきた中で、皆さんが面接で最大限アピールできることを心から応援しております。



 さて、本日は体育会学生の皆さんにも大きな影響があり社会的問題となってしまっている日本大学アメリカンフットボール部の問題について、就活の面接の場でも面接官から意見を求められることもあると伺いますので、取り上げたいと思います。




−独裁支配が招いた問題



 今回の一番の原因は、組織として恐怖政治的に他が異論ができない威圧的統率が行われていたことで、当該選手も正常な判断ができないほどに追い込まれてしまったことでした。


 監督が言うことが絶対、自分が出場するためにはたとえあり得ない指示であっても鵜呑みにするしかない。反論もできず、意義も唱えられず、その選択をする以外に道がない、そのような判断にさせるほどの原始的独裁的な指導法で、地位と立場を利用し、集団をまとめていたリーダーと組織体制に大きな問題がありました。


 当該選手は学生代表にまで選ばれるような競技的に優秀な選手であったにも関わらず、将来の可能性を閉ざしてしまう結果を招いてしまったのです。


 組織に属する個人の立場に立った時、同様の状況に陥らないために、どうしていくべきなのか。社会に出ていく皆さんの身にもこれからまだ起こり得る問題として捉え、整理していきたいと思います。




勝利至上主義から脱却し、

個々人の長期的な目的を追うこと



 日本スポーツ界が向き合うべき大きな課題となっている勝利至上主義。スポーツをする上で勝利は最も重要な指標として評価されることは紛れも無い事実であるが、結果を出せば、勝てば、強ければ、何をやっても許される、勝つためにはどんな苦しいことも非情なことも受け入れ努力するという歪んだ勝利至上主義がまかり通ることがあるのです。


 大学スポーツにおいては、プロアスリートになる人や五輪出場をするような選手は一握りであり、例えその一握りの選手であっても生涯スポーツを続けられる人はほぼいません。その中でスポーツの勝利という尺度のみで自分を評価されることを求めてしまうことは適切ではないと思います。今回のように「勝つこと」が目的になっている選手は人としての様々な成長機会を逃したり、正当な判断基準を養えなくなることが起きてしまいます。


 人間的成長を最も大切にすべき目的としておくことが適切であるはずが、競技力向上に重きが置かれ勝利を追うことが最大の目的になっている選手やチームがまだ多いのが現状です。



 一方で一つ事例を紹介すると、100人を超える部員数を誇る明治大学女子ラクロス部のチームビジョンは「いい女になる」。日本一はあくまで目標であり、目的ではない。社会に出た後も一人の女性として活躍していけるための人間力を部活動の中で養っていくことが最も大切なものであり、その目的に沿った行動や評価がなされていく。そんな素晴らしい部活運営を行っているチームもあるのです。


 何を目的に置くかで行動は全く変わってくる中で部活動はあくまで人生の中で一部であり通過点だからこそ、長期的な視点で自身にとって重要な成長機会を得られる環境を作っていく。


 就職活動を通して人生の目的や大切にしたい価値観などを具体化できている方も多いと思いますが、本質的な目的を持ち、適切な目標や手段のもとそれが達成できるよう、改めて、就職していく企業とも向き合い、企業の目的と自身の目的とが紐付けられるのか、本当に自身にとって求めている環境があるのかを今一度確認をしてみてください。




自立自走の大切さ



 それぞれが与えられた役割のもと作戦を実行していく競技特性上、ヘッドコーチの指示を聞かない選択をしづらい環境であったとはいえ、反則をおかし、相手選手の身体の危機に発展する可能性もある悪質な行動を起こしてしまったのは、立ち返るべき自身の判断軸が崩れてしまっていたからである。当該選手は学生であり、権力ある大人からの指示に正当な判断ができなくなってしまうのは仕方がないのかもしれない。とはいえ、監督との適切なコミュニケーションが取れない環境や理不尽な精神的暴力が繰り広げられる組織において、それが正しいかどうか疑問を持ち、適切なアクションを起こせなかったことはやはり当該選手の責任となってしまいます。



 社会人になってからも、組織の判断のもとで本来自身の価値観から外れたことをやらなければいけない局面や、理不尽な指示を受けることが出てくる可能性はあります。組織に属すると盲目的短期的視点のもと、実行してしまうこともでてきてしまいます。そうではなく、上司や組織が言うことが絶対ではなく、必ず自身の頭で考え、立ち返るべき自身の判断基準のもと、自身の責任下で行動をしていかなければいけません。人は環境に慣れ、依存してしまう傾向がありますが、過ちを犯さないためにも、真に一流の人材となるためにも、組織の当たり前や指示を鵜呑みにするのではなく、正当な判断を行えるよう強く自立をしている必要があるのです。頭を使わずに役割を果たすためだけに行動するのではなく、目的や意味を考えた上で行動に責任を持ち、周りを巻き込み、仕事をしていくこと。これからの社会を担う皆さんには、そういったリーダーシップが求められているのです。



 いまの日本社会では、様々な外部環境変化で、旧態依然としたビジネスや伝統的なマネジメントのままで成長を続けられる企業は大幅に少なくなっています。当たり前と捉えられてきた答えも、将来には当たり前でなくなる可能性もあるのです。企業は安定した場所ではなくなり、個人を守れなくなることも出てくるでしょう。一人の自立した個人として社会と関わる環境がより加速していきます。


 自身の人生の目的をぶらさず、明確な判断軸を持ち、全ての行動に責任を持てるような体育会出身者が多数社会で活躍していくことを祈っています。




最後に



 今回の問題を自身に置き換え、所属組織の中でリスクヘッジする行動を取ったり、意見を言ったりすることができたかどうか。どのような組織が自身にとって理想の組織であり、どのような関係性が自身と上司や組織の関係において適切であるのか、面接の場で面接官から聞かれることもあるかと思いますが、自身の意見を持って議論してみることで、企業や面接官の考え方や価値観を知るいいきっかけにもなると思いますので、改めてこの問題を自分ごと化し、整理していただければ幸いです。


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